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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第四章
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《第九十四話》『食用菌類』

「よっ、エリンギ後輩!」

「その呼び方はやめてくださいよディア先輩――」


 クラウディア先輩は、ぽんぽんと先日エリンギの生えてきた僕の頭を触った。当たり前だが、そこに謎のエリンギの姿はない。


「遊ちゃんに指さされたと思ったら、なんでそんなの生えてきたんでしょうね――」

「アタシに聞かれてもわかるわけないじゃないか――狼山に聞きなよ」


 それはそうなんだけど、狼山先輩もここのところ忙しいみたいで、なかなか会えないんだよなぁ。当然遊ちゃんも、先輩と共に行動しているためになかなか見ない。


「というか、遊ちゃんに予言能力なんてありましたっけ――?」

「ないよ。特殊な糸を操る力があるくらいさ。ただ、無表情なくせして変な茶目っ気はあるやつだからな」

「――茶目っ気、ねぇ。もしかして、僕はからかわれてたのかな……」


 僕は遊ちゃんとはあまり話したことはない。というか、あの娘は結構無口で、声すら滅多に発しているのを見たことが無い。

 あるいは、狼山先輩の前では話しているのかもしれないが――。


「しいたけ」

「――は?」


 と、噂をすれば何とやら。僕の時と全く同じ様子で、いつの間にか後ろにいた遊ちゃんが、また食用菌類の名を発しながら指をさしている。


「――って、アタシかよ!? おい、ちょっと待てどう言うことだ! おい、おい待て!」


 しかし、ディア先輩の制止する声を聞く様子もなく、遊ちゃんはすごくご機嫌な様子で、しかし無表情で事務室から出て行った。


 ――その数日後。ディア先輩の頭頂部から本当にしいたけが生えてきた。


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