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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
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《第941話》『終わりを望む』

「だめだよ、終わらせることを終わらせたら」

「……――っ!?」


 ふっと、突然顔を上げて、夜貴は――いや、その向こうにいる誰かは、そう述べた。


「僕は終わりたいんだ。だから、これだけの下準備をして永い永い時を待ったというのに。それを台無しにされてはたまらない」


 夜貴は立ち上がり、妾へと近づいて来る。しっかりとした足取りなのに、どこかつかみどころ無く亡霊めいていて。妾は、一歩後ずさる。


「台無しだ、などと、妾は――」

「僕の望んだ、世界の滅び。終わりも始まりも無くどこまでも遡り、どこまでも続く円環の破滅」


 見開かれた目。瞳孔には妾の姿が映る。


「その意思は、僕が僕である限り遵守されるもので、決して違えられるべきではない。それは呉葉、君もよく分かっている筈、だけど、何故それを守ろうとしないの?」

「や、やめろ、来るな――っ」


 きぃんと、頭の中で高い音が鳴り響く。それは痛みとなって妾を襲い、根拠のない強迫観念となって迫りくる。


「っ、おい樹那佐! 何やってんだ!」


 狼山が割って入ると、それは止む。気がつけば、心臓は壊れかねない程に拍動。額には脂汗をかいていた。


「――僕は、樹那佐 夜貴であって、樹那佐 夜貴ではありませんよ。狼山先輩」

「何を――……?」


「僕はこの世界の意思。中核にして、この世そのもの」


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