《第九十三話》『どうでもいいけどルンバってサンバに似てる』
「やはり、時代はルンバではないか?」
「――呉葉、仮にそうだとしても、お金はそんなに無いよ?」
広告でいろいろな掃除機を見てみる僕達。アレの代用品を買わなければ、部屋はどんどん汚れていく一方である。
「むむ――妾が壊した手前、何とも言えん」
「あはは――じゃあ、この安売りしてる紙パックの奴はどうかな?」
「要するに前と同じではないか? いかに安いからとはいえそれで決めてしまうと、性能面で泣きを見るかもしれんぞ?」
「まあ、言ってることは分からなくもないけどさ。それじゃあ、これは?」
「ふむ、サイクロンか」
「これなら古くないでしょ?」
「が、重い」
「呉葉の腕力なら関係ないよね!?」
「女に対して筋肉もりもりマッチョウーマンの変態とは何事だ!?」
「そこまで言って無いよ!? ――じゃあ、これは?」
「うむうむ、ルンバ。よいではないか、よいではないか。妾は楽ちん、その間他のことに時間をまわせるし、ペットのように愛でることだって――」
「…………」
「うん? どうした夜貴。多少お金がなくとも、妾がうまくやりくりしてみせ――、」
「呉葉には、箒やちりとりだけで頑張ってもらおうかな」
「ごめんなさいすいませんでした我儘言って申し訳ありません紙パック式でいいので掃除機ほしいですおねがいします!」




