表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
929/1022

《第930話》『想い故に』

 崖の上で、黒々とした炎が上がった。樹那佐の嫁さんが、樹那佐を狙っていた何者かを葬ったのだろう。


 姿や音を消し、気配まで消していた様子はあるが。引き金を引く際の視線で、反射的にライフルの銃口狙って撃っちまった。

 思えば、「気を付けろ」とはこの事だったのかもしれない。ディアも呉葉´も、何事が起こったのかと目を丸くしている。


「――こう言う事だ」


 空間転移で戻って来た嫁さんが、再び俺達の前へと姿を現してそう言った。その視線は、樹那佐の方を向いている。


「どう言う事だ、説明を省くな」

「妾が、夜貴を狙う理由だ」


 樹那佐は、俺とディアの後ろで、未だにぼうっと意識をどこかへやったまま。生きていながら死んでいる、という表現がしっくりくるその状態は、正直痛ましくてあまり見ていられない。


「終わらせねば、今後も延々と同じことが繰り返される。次から次へと、世界を滅ぼす宿命を背負わされた者共が、夜貴の命を狙いに来ることになるのだ」

「何――?」

「世界は自らの滅びを望んでいる。それゆえに、幾度となく同じヤツらの襲撃を受けることになるだろう。それは夜貴が世界の核であり続ける限り、いつまでも、いつまでも――」

「だがそれは――名も無き悪魔が宣った……、」

「妾が、その真偽を判断できぬ程盲目だと思うか? 妾もまた、滅びの宿命を与えられし者。その者にしかわからぬ感覚を持っている。しかし何の因果か、『妾自ら』は他の者共とは異なり侵食はされていない。だからこそ。夜貴を想うからこそ、妾は思ったのだ」


 嫁さんの顔は、険しいまま。その表情は、様々な葛藤を思わせる。


「せめて妾の手で、その人生を閉じさせてやりたい、と」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ