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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第四章
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《第九十話》『食用菌類』

「よっ、一週間ぶりだな」

「狼山先輩、おはようございます」


 事務室に入ると、相変わらず妙なハリウッドアクション的ロングコートの青年が笑顔を向けてくる。


「いきなり長期の休みを取りやがってぇ~、大変だったんだぜ? 主にディアが」

「はは――」

「後で差し入れでもしておいたほうがいいぜ? 特にここ数日、何度書類が白い鳩になったか」

「外には飛ばしちゃってませんよね――?」

「安心しろ。誰かに読まれる前に、所長と一緒に拾い集めた」

「安心できませんよ!?」


 一応、ここは国家の秘密機関なのだから、一般人の目に触れていい書類はない。まあ、内容が内容なので、できの悪い小説のプロットともとられる可能性もあるが。


「…………」

「うん――? どうした遊?」


 ロングコートの裾から、狼山先輩の腰より少し高い位置に頭のある少女が姿を現した。彼女は僕を――僕の後ろを指さした。

 長い黒髪に、真っ黒なゴシックドレス。肌は白磁のように白く、その顔は冷たい美貌でありながらも幼げ。狼山先輩は割と長身ではあるが、その少女はまさしく「子供」と言った身長をしている。

 思誓しせい ゆう。生ける人形である彼女は、狼山 駿也の仕事のパートナーで、細い糸を操る力で彼をサポートしている。

 そんな彼女が、僕を指さしている。一切動かさないその表情でそんなことをされると、言いようのない不安が――、


「えりんぎ」

「――はい? なんだって? あ、え、あ、ちょっと、遊ちゃん! 遊ちゃん!?」


 謎の言葉を言い残し、遊ちゃんは狼山先輩の背後に再び隠れてしまった。


 ――その数日後、なぜか僕の頭の上にえりんぎが生えてきたのは、何の因果だろうか。


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