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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
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《第900話》『決心』

「これが世界の真実だ、同胞よ」

「…………」


 気がつけば、妾の前には名も無き悪魔。そして、触手の気色悪い化け物。


「厳密に言えば、力を受け継ぎし者、と呼ぶべきか。だが、例え本来の運命から外れた生まれ方をしても、汝は吾と同じ宿命を帯びし者」

「…………」

「汝もまた、吾と同じくして。この世界の意思によってこの世界を滅ぼすべくして生まれた。吾は当初こそ自覚してはいなかったが、この世界と繋がることでそれを理解した。汝も、同様であろう?」


 名も無き悪魔、触手の化け物は空間の裂け目からその身を覗かせている。そして、その奥から漏れ出る世界を形成する一部――……、


「汝ならばよく理解できたはずだ。吾が虚言を吐いてなどいないことを。特別な術で汝を惑わせたのではないと。その身で、魂で。感じた筈だ」

「――ああ」


 妾は、偉そうに高説を垂れる名も無き悪魔へと歩を進める。


「さあ吾が同胞よ、吾と共にこの世界を――、」

「断る」


 攻撃を当てやすい位置へと立った妾は、妖気によって生み出した地獄の業火を、名も無き悪魔へと叩きつけた。


「お、ご、ォ――……ッ!?」

「使命は理解した。貴様の言っている事も真実であるとわかった」


 炎は化け物を射貫き、名も無き悪魔を炎で包む。燃え盛る火炎が、枯れ行く木々の落ち葉のようにその肉は燃え落ちていく。


「ならば尚更、貴様にその役目を渡すわけにはいかない」


 死にゆく悪魔の身体から、力を全身で吸い上げながら一人呟く。


「夜貴に。核に。この世界に終止符を打つのはこの妾だ」


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