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《第八十九話》『終幕(アレが)』
「どうしても、か。夜貴」
「う、ん――どうしてもなんだ、呉葉」
リビングのテーブルで向かいあう僕達。神妙な面持ちの彼女に、僕も同じ表情で応じる。
「考え直すことは、できんのか?」
「駄目だよ、これは始めから決まっていたことなんだ」
とうとう、終わってしまうのだ。それは、お互いに理解していたことだろう。だから、その未来を捻じ曲げることなどできない。
「妾が、この身を、この力をどれだけ駆使したとしても。変えられないのか?」
「くどいよ、呉葉。終わりだと言ったら、終わりなんだ」
「くっ――なんと言う事だ……ッ! 事前にわかっておきながら、防げなかったとは――」
呉葉はテーブルの上で両手を強く握りしめる。歯を食いしばり、今にも涙が零れそうなほどの悲痛な顔をしている。
だが、どれだけ嘆こうとも、運命は変わらない。なぜならば――、
「仕方無いよ。貰ったお休み一週間は終わったんだし――」
「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」




