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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
899/1022

《第898話》『繰り返されるループの中で』

「っ、お前は何者だ――! よもやこの世界の意識とでも言うつもりか!」


 頭なのか、周囲になのか。響く声に対し、妾は声を張り上げる。

 その声が、何故夜貴の声をしているのか。何故妾へと語り掛けるのか。


 そもそも、これが幻想ではないという証拠はない。証拠は――……、


「――っ!?」


 ドクンと、心臓を――いや、魂を殴りつけるような衝撃が、妾を襲う。

 そして、その一瞬の間に妾へと流れ込んで来た光景。


 何度も何度も繰り返された世界。そこに妾はいた。夜貴はいた。妾の知る全ての人物がいた。

 その光景の中には、二人の子を――謳葉や活葉を夜貴との間にもうけた妾の姿もあった。平安の世で、ひっそりと天寿を全うした妾もいた。


 それは全て輪の上で循環し、ある一点が来るごとにそれは始まり、終わる。存在の発生があらかじめ定められた運命の上で起こり、時が流れる。


 平行世界など存在しない。全ては、一つの軸の上で展開される出来事。命が自覚できる「時」の範疇を飛び越えた無限の「空間」が繰り返される。


 それが、一つの世界と言う枠組みの正体だ。


「っ、やめ、ろ――ッ」


 無限に。永遠に繰り返される世界。多少の差異あれど、同じ光景が何度も何度も、何度も何度も何度も何度も。


 そしてそれは、終わりを望もうとも終わらない。世界がその世界である限り。終わりの存在しない中、一人在り続ける。


 一瞬の間に、妾はそれを見た。体感した。その一端を、この限りのある精神の中で味わった。


 苦しみ。永遠の孤独と言う苦しみ。


 そして、それを終わらせる方法は一つだった。


「核を――」


 世界が自らの中に定め存在として落とした核を、壊すことだった。


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