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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
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《第880話》『二つは一つ』

「ええい――ッ」


 白い女の子の全身から妖力が迸ると、彼女の身体に絡みついていた銀髪はばさりと解けていった。しかし、破られたというよりは、離してやったとでも言わんばかりのほどけ方だった。


「そもそも、吾の生まれ落ちた醜き世界も、この美しき世界も、一つのくくりのなかに収まっている。いわば二つは、異なっているようで同質のモノなのだ」


銀髪の女性が掌を顔の前でかざすと、シャボン玉が生まれた。その中にまた、二つの泡が浮かんでいる。


「本来、吾のような存在は、この巨大な泡の中で一つしかいない。当然だ、同じ意志とは複数並び立ってなど居るはずがないからだ」

「どんな高説も、伝わらねば意味を成さんぞ――!」


白い女の子は、僕を小脇に抱えると後退しながら炎の玉を連射した。

着弾によって起こる爆炎が、銀髪の女性の姿を覆い尽くす。


「である筈なのに、吾と汝がここに存在する。『特定の何かを害したい』。その何か一つへと向かう何らかの意図は、並行して複数存在するのではなく、必ず一つである」


だが、粉塵が晴れた場所には、やはり無傷の女性が立っている。

女性は、しゃぼん玉を握り潰す。


「例えば汝が今吾を害そうとしている。だが、その意志は一つだろう? それと全く同じ思考が、汝の中に複数存在しては居るまい」

「悪いな。妾は哲学などさっぱりなんだ!」

「まだ分からないかね?」


銀髪の女性が、空間の穴へと落ちた。


「汝もまた、世界を滅ぼす意志。その少年を殺そうと企む思念そのものなのだ」


 背後に現れた女性は、白い女の子に対して親し気な笑みを向けた。


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