《第877話》『崩壊』
僕の目の前で、衝撃と衝撃がかち合う。白い女の子の拳が、食卓の上で棒立ちな銀髪の女性の前で何かと拮抗しながら止まった。
炸裂した力は、一瞬にして部屋の中まで広がって荒らし。窓という窓を割り、壁に穴をあける。
「ふわ、っぷ――!」
それを一瞬目にした直後、僕は気がつけば外にいた。目の前には我が家。しかし、その姿はまさに内側から巻き起こる力の流れによって半壊状態にされていた。
「世界とは、ただ切り裂いただけでは砕け散らぬ」
「え」
背後から声。振り返ると、長い銀髪が踊りまるで鎌のような形状となっていた。
その切っ先は、僕をまっすぐ狙っている――、
「突然現れたと思ったら、いきなり何を企んでいる――ッ!」
「ふっ」
その一秒にも満たない直後、銀髪女性の真横の空間に穴が出現する。そこから、白い女の子が拳を構えながら飛び出してきた。
その拳は、銀髪女性によって添えられた片手でいとも容易く止められた。
「見ればわかろうものだろう」
「くっ、ぐ――ッ」
銀髪女性の髪が鎌の姿を解くと、幾本もの髪の束となって白い女の子に巻き付いた。
そのまま女の子は上へと振り上げられると、直後アスファルトに叩きつけられる。
地面が弾ける。破片と共に襲い来るそれに、僕の身体は吹き飛ばされた。
「あうっ、く、ぅ――」
僕の身体が、家の前を通る道路の上に転がる。
「この世界の核たる、そこの少年を壊しに来た」




