表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
878/1022

《第876話》『日常の光に刺しこむ影』

「夜貴、今日のハンバーグの出来はどうだ? 我ながら、過去最高だと思うのだが」

「うん、とってもおいしいよ。――ええっと、」

「呉葉」

「呉葉。――何度もごめん」

「仕方ないことだぞ。とりあえず、若年性健忘症ではないようでないから、心配は軽い」


 彼女はそう言うが、これっぽっちも安心ではない。


 自身に何が起こっているのかは定かではないのだ。それが呪術的なモノなのか何なのかは定かではないが、異常事態であることには間違いないのだ。

この白い女の子が誰なのか、こんなにすぐ頭から抜け落ちてしまったが――忘れてしまった事自体は覚えている。


 ――本当は、彼女自身が一番辛く思っている。


 僅かだけど、震えている声。僕が言葉に詰まるたびに、ほんの少しだけ苦しそうに歪む顔。

 僕は一体どうしてしまったのだろう。頭を叩き砕くような頭痛、そして大切なヒトのことを覚えられないという異変。


 しかし、原因も何も分からない。何も――、


「また会ったな、吾らが愛しき同胞」


 ガチャンと、素足に乗られた食器が引っくり返った。ハンバーグが宙を舞い、そのソースが真っ白な足を汚す。

 僕と、白い女の子が夕食をとっている、その最中。


「そして――この世界の核たる者よ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ