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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第三章
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《第八十六話》『どく』

「ひょっとして、このためにここへ来たいって言ったの?」

「さて、な。好きに想像するといい」

「全く、そのせいで妾が苦労することになってしまったというのに」


 あくまで、幻影の呉葉は自分がここへ来た理由を話さないつもりらしい。だが、その満足げな表情からは、それが明らかである。


「まあでも、どうせ妾のことだからほったらかしであるとは思っていたがな!」

「その言い方はまるで妾がものぐさな性格であるみたいではないか!」

「全くその通りだったではないか!」

「まあまあ、済んだことだしいいじゃないか」


 互いに後腐れなく。そんな関係が望ましいのは、言うまでもない。正直なところ、僕自身も零坐さんたちがどうなったかは気になっていた。それがうまく着地するところに降りることができて、一安心である。


「狂鬼姫様、お茶が入りました」

「うむ、ご苦労」

「それと、こちらはお客様の分でございます」

「え、僕?」


 零坐さんは、そう言って湯呑をちゃぶ台へと置いた。結局のところ僕が呉葉を奪ったことには変わりないので、てっきり怨まれたままであると思っていたのだが――、


「こちら、どくだけ茶になります」

「なんか紫色!?」

「なお、現世から『退く』と言う意味も込められています。とっととお退きください」


 ――うん、やっぱりすごく怨まれてたよ。


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