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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
859/1022

《第857話》『制御不能』

「っ、お前、ディアだよな――?」

『ウ、ググ、カハッ――』


全身真っ赤のおどろおどろいし姿。俺は過去一度しか見たことはないが、その姿は彼女のもうひとつの姿。悪魔としての力を前面に出した状態だった筈だ。


しかし、その全身は見るからに満身創痍だった。空間に空いた穴から飛び出してきて、現在のしかかられているが、直前まで戦っていたことが想像できる。


「おい、しっかりしろ! おい!」

『グ、やかましイね――! ソの声、狼山か………?』

「そのとおりだがそれは今どうでもいいんだよ!」

「………」


身動きのとれない俺を、近くまで歩き寄ってきた軽装女が見下ろしてくる。

その瞳は何を考えているのか読めず、冷えきったその目はこの世の者ならざる気配を放っていた。


「っ、だから、あれほど外へ出せと、吾は言ったのだ――!」


そして空間の穴から、全裸の銀髪女が上半身のみを表した。こいつもまた、名も無き悪魔だ。


「しょーがないじゃん、出てくれなかったんだし」

「汝のやり方が悪いと、なぜ思わん」


何事か、悪魔どもは互いに言い争っている。同じ顔をしておきながら、互いの意思疎通はあまりうまくはいっていないようだ。


「ディア、お前一体どこに居て――、」

『グ、ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』

「っ!?」


 咆哮。赤い髑髏が叫び声を上げると、俺や名も無き悪魔どもを吹き飛ばす。

 それは、一種の暴走状態――のようにも見えた。


「――全く、吾が折角この者の多大な力を吸収しようとしていたところを。致し方なし、一旦引くぞ」

「あいあいさー」


 そうして、一人取り残される俺。


『ウ、ググ、グ、ぐぐ――』

「――ヤバそう、だな」


 気がつけば、絶体絶命を疑わざるを得ない事態に陥っていた。


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