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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
853/1022

《第851話》『掘削』

「ん、んんん、ん、ん――」


 目を覚ました夜貴は、名も無き悪魔のことをすっかり忘れていた。色々な要素を述べてみるが、一切その記憶が抜け落ちている。

 なお、他の記憶のことに関しては、はっきりくっきり覚えているようだ。昨日の晩飯から結婚記念日まで、しっかり覚えている。


「まあ、夜貴は奴とは直接対面していないからな。忘れることも無くもないだろう」

「馬鹿?」

「妾を指さして何故言った!」

「まあまあ、二人共。えっと、普通忘れるような状況じゃない、というのは分かるよ」


 実際、平和維持継続室全体で動いて当たっていた事態だ。それが、そこだけぽっかり抜けてしまうとは。確かに、奇妙ではあるが。


「ともかく今は、夜貴が目を覚ましてくれただけで充分だ。何が起こったかは、幾分か落ち着いて考えられるようになった」

「また起こる。かもしれない」

「――そう、だな。三度目があってほしくはない、が、楽観視できるような事態でもなかった。夜貴自身は、何か心当たりはないのか?」

「そうは言われても――」


 夜貴は思い出そうと試みているようだが、やはりと言うべきか、それが出てくる様子は無い。


「――なんて、言うかな。普通の頭痛とは、ちょっと違う感じなんだよ」

「あれが平常なら、一日に何人も倒れている奴を見かけそうだ。どのように違うのだ?」

「こう、削られる、感じ――?」

「どんなふうに?」

「それをうまく表現するのが難しくて、どう言ったものかと悩んでるところ」


 少しでも原因を探る手掛かりがあれば、と思い痛みの様子も含め逐一考察する。

 しかし、件の悪魔のことだけ忘れている、か。――頭痛が初めて起こったのも、あの悪魔が現れるようになってからだ。

 よもや、ヤツが何かをしているのか? しかし、直接対面している、と言う事は無い筈だ。


「例えるなら――そうだね、脳にドリルを突き立てられて掘削させられている、ような……」

「――気を失うのも頷けるな、それは」


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