《第846話》『奇々怪々に危機回避』
唐突に現れた怪人に、所内は混乱状態になった。黒服達は口々に、「何だこいつは!?」だの「このような異形は聞いていない!」だの「悪魔の手先か!?」だの喚いている。
『そう喜ぶでない。そのように騒然とされては、ワレも相応の対応をせねばならん』
「こいつ――あなたのしもべですか?」
「――いや、違うな」
嘘は言っていない。遊の操り人形ではあるが。
『ワレを見くびってもらっては困る。狂鬼姫よりも凶悪にして強靭! 今日日、並び立つ脅威ここに無し!』
「ごちゃごちゃうるさいです。イオナ――」
『よって、遅れたる反応にすかさず奥の手を繰り出す!』
トンマロクは、バサリと黒マントを広げた。
『オクラのみじん切り!』
そこから、多量の緑とねばねばが爆発した。
「また食べ物を粗末に!?」
対応しようと異能を使おうとしたカオルをはじめ、トンマロクに攻撃意思を向けていた黒服共は、オクラのみじん切り洪水に飲まれてしまう。
『ワハハハハ! この事務所に所属する事務員並びに鬼神をば、ジェットの勢いにて拉致させて頂く!』
トンマロクより、オクラのねばねばとは異なる糸が夜貴や妾、百々百々に巻き付いた。
『さらばだ! サラダの上に並ぶが相応しき者たち!』
妾達は、事務所よりの脱出に成功した。




