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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十三章
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《第835話》『吸収』

「見よ、我が目論見は見事成功した。祝ってくれたまえ」


 爆炎の余韻が、煙が、周囲を覆う。その煙の中から、如何にも嬉しそうな悪魔の声が響いた。

 そして――妾はさらにその中から、信じがたいモノを知覚する。


「狐の妖力、だと――?」


 どう言うわけか、九尾の狐の妖力が名も無き悪魔より感じ取れた。しかも、まるで本人が保有している力だ、とでも言うように。


「先ほどのバナナシェイクという発言から、吾は思い至った。直接力を得られずとも、肝心のそれは本人が放ってくれる。ならばそれを元の力に再構築し、頂いてしまえばいいのだ、と」

「何がどう繋がってその思考に行きつくのか、さっぱり見当がつかんぞ!」


 だが、ヤツの行ったことは事実その通りなのだろう。九尾の狐が放った炎を妖力へと再変換してから吸収し、そして今、本人へとやり返した。でなければ、こうはならない。


 ほぼ自らの妖力を受けた狐の姿は、煙に覆い隠され確認できない。上から力が叩きつけられたのだろう、地面に空いた大きな穴より、濛々と灰色のそれが上がっている。


 あの際には、相当な妖力が込められていたハズ。悪魔が無傷であることを考えると、全て吸収したと考えるのが妥当だろう。

 流石の狐も、あれほどの力を喰らっては、無傷では――、


 ――その穴から、地割れのような斬撃が飛んだ。


「――っ!」

「何を、してくれとるんじゃ貴様は」


 九尾の狐が、煙の中より飛び出してくる。


「しぶとい駄狐め、あのままくたばってくれていたらよかったものを」

「なにおう狂鬼姫! 九尾の狐が己の妖力を返された程度で敗れるものか! 笑い話にもならんわ!」


 無傷――ではなかった。だが、九尾の狐は煤塗れながらもぴんぴんしていた。


「なん、と――壮健ではないか。吸収した力は、かなりの力だと思っていた、が、」


 今の斬撃で、片腕をもがれた悪魔が、ふらふらと後ずさる。


「やはり、この世界は美しい――ッ」


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