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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第三章
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《第八十二話》『呉葉の大事にしている心』

「それは――どういう意味で仰っているのでしょうか?」


 零坐さんが、怒気を孕んだ声色で、しかし丁寧な口調のままで問いかけてくる。しかし、僕はそれに怯むつもりはない。


「確かに、昔ならあっちやこっちでたくさん争いもあったかもしれない。でも、今の時代ではそんなことは起こらないんだよ」

「――それは、あなたのいる何とか言う組織があるから、とでも言うつもりですか?」


 初老ではあるが、体格も僕よりはずっといいために、威圧感もすごい。狂鬼姫のしもべであった彼は、その方面での能力もきっと高いに違いない。


「それは大きな間違いです。たかだか人間が、驕らないでいただきたい。むしろ、あのようなモノがあるから余計な争いが起こるのです。狂鬼姫様の存在に任せておればよいものを、聞きましたよ? 古来より存在する我らの鬼神を邪魔扱いし、追いだそうとしていたのを」

「――ねぇ、零坐さん」

「なんですか? 狂鬼姫様へのこれ以上の侮辱は、あなたが狂鬼姫様にとっての何であろうと、容赦は出来ませんよ?」


「そうやって息巻くことそのものが、狂鬼姫であった呉葉の意志そのモノに背くことであることを、気付いていますか?」


「――はい?」

「そうやって相手を何もとりあえず敵視して否定して、互いに新しい者、古き者を必要ないと言う。それは立派に争いの火種だよ? どうしてそれが分からないんですか!」

「――っ」

「呉葉は、別に心変わりしたわけでも何でもないし、誰かの元に下ったわけでもないんです。確かに自分の立ち位置に対して見方は変わっただろうし、一見何もかも忘れて遊んでるかもしれないけど、」


 僕は呉葉を想いながら、零坐さんを見る。彼だって、呉葉のことを想ってる。けど、だからこそ。その真意を考えるのをやめてはいけない。


「呉葉は、使命とかそんなんじゃなく、一個人として皆のことを大切に思って、今を生きている。僕は、きっとそうなんじゃないかって――思ってます」


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