《第825話》『未だ不明、故に討伐すべし』
「時間を経れば経るほど、そっちにとっては倒しやすくなるのはわかった。だが、増えたことに関してはどう考える?」
必要なピースの一つ。悪魔はそう言ったのだと言う。
悪魔は、理由こそ理解不能だが、世界を滅ぼすつもりであるらしい。それと二人になること。どんな因果性があると言うのか。
「増えた無表情なヤツ。元の方がどれくらいヤバイかはハッキリ知らないからわかんないけども、結構やるヤツではあったよ。こちらの世界の力を活用できるようになってると考えると、分裂して弱まったって言う気がしないねぇ」
「うねうねしてたか?」
「そこ重要?」
「うねうねしてたけど、それ以上に動きの早さに手間取った。奇術師の方の動きは呉葉ちんの話や、監視カメラの映像で見たときとは比べ物になんないよ」
「――元の方も同じくらいの動きをできると、考えておくべきかもしれんな。前言撤回。時間を経れば経るほど倒しにくくなりそうだ」
呉葉は腕を組み、ディア先輩は頭をかく。放っておけばどんどん強くなり、しかも増える。何とも嫌な要素のダブルパンチだ。
「やはり、妾も静観してはいられそうに無いな。この世界は妾や友の、そして何より最愛の者の住む世界でもあるのだ」
何をどうするかは知らんが、邪な思惑は止めるに限る。呉葉はそう言って、戦う意思を見せた。
実際、世界を滅ぼすと言っても具体的に何をするのかはまるで分らないし、規模も大きすぎて現実味が薄い。
しかし、その過程で人の不幸を招くとなれば、それは野放しすることが出来ないのが当然だ。
「――ならばまず、ヤツがどこにいるかだが。探知の適用されている範囲にまだいるのか?」




