《第818話》『喰い違う情報』
「お、っかしいなぁ――! 呉葉ちんが話してたよりもずっと早いんだけ、ど……ッ!」
跳躍し、名も無き悪魔に追いすがるディア。刀を横薙ぎするが、地面へと着地した悪魔はまたもやそれを回避してしまう。
「ならこれはどうだいッ!」
ディアは空中で刀から手を離し、拳銃二丁を取り出して弾丸の雨を降らせる。精度や速度は俺に劣るが、攻撃の密度ならばあいつの方が上だ。
――だが、その攻撃にさらされているハズなのに、悪魔には一向に当たる気配がない。それもその筈、軟体のように身体をくねらせ、実際に全て回避されてしまっているのだ。どうやら、あのマントの下は人型と思わない方がいいらしい。
「――というか、俺でさえ目で動きを追うのが精いっぱいだ!」
「相変わらずアンタ、ホントに純粋な人間なのか怪しいね! アタシにゃさっぱり見えないよ!」
地面に着地したディアが刀で連続して斬りかかるのに合わせ、俺は射撃。回避という動きの問題上、どうしても移動せざるを得ない先を先回りして撃つが、それすらも当たらない。
「っ、な!?」
「――ッ!」
ディアの脇をすり抜け、俺へと向かってくる名も無き悪魔。俺は回避姿勢を取るが、当然間に合うものでもない。
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