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《第799話》『存在しない概念と言う概念』
「様々な世界があります。世の中には」
「俗にいう魔法と呼ばれる概念の存在する世界。科学と言う名の技術の発展が目覚ましい世界。それを駆使する知能もない世界、魔法も科学も。あるいは」
「ある種の共通点があります、どこかそれらには。ですが」
「生命が存在することです。それは」
「存在します、「生命」という概念が。世界が己の孤独を埋めるかのように、まるで。世界には自己の意識を模したかのように、まるで」
「一つの『世界』として成り立っている、意識を生み、多くの生命を生み、一つの世界の意思が。それは同じ、この世界も」
「この世界は自らの崩壊を望んでいます、けれど」
「45億年もの間侵し続けてきました、およそ、この世界の年単位にして。その意思はじわじわと」
「世界は自らの自殺願望に抗ってもいました、しかし」
「そう解釈しています、私は。一つのちっぽけで非力な存在を生み出した、それが」
「今しばらく見守らせていただくとしましょう、故に。私は気になって仕方がありません、行く末がどうなるか」




