《第792話》『それは白いウニのような物体』
「今日は魔界プルーンを――」
「何でもかんでも頭に『魔界』付けりゃいいってもんじゃねーぞ!」
どうやら、ディア先輩がまたお土産を持ってきたらしい。最近増えたような気がする。
なお、今日は比較的のんびりした日だった。窓から差し込む光は温かい。
狼山先輩が話すその隣、椅子の上で遊ちゃんがうたたねするくらいには。
「ンな事言ったってねぇ」
「魔界だって地名くらいあんだろ。日本○○とか、地球○○って言ってるようなもんだぜ?」
「アタシもこっちのお土産もっていくときは、人間界○○って言って渡してるけど」
「すげぇお互いさまだった――」
と言う事は、本当はもっと違う名前がついているのだろうか。そう思って以前尋ねたことがあるが、何でも、魔界言語は人間には発音不能だとのこと。
「――そうだ、実は親父からもう一つ、頼まれごとがあるんだった」
「あん? どした?」
「実はだな、魔界でちょっと厄介ごとがあったらしくてな。本来なら、あっちのいざこざはあっちで片づけるつもりだったらしいんだけどな?」
――? 何だろう、厄介ごとかな……。
「ちょ、ちょっと、なんだか知りませんが、そう言う話はこちらに!」
「あっ、所長! 居たのかい!」
「いましたよずっとォ!」
ううん、魔界からの頼まれごと、もとい依頼? 字面だけで不吉なんだけど――、




