《第789話》『クリスマスケーキ』
「そろそろ、日が近いな。当日どうすべきか――」
普段の大型スーパーでの買い物後。帰りがかる店内で、ケーキ屋のショーケースを横目に思う。
「予約とか、そう言うのは、いろんなところで頻繁にやってるんだが」
だが、もう締め切りはどこもとうに過ぎていることだろう。ご覧の通りだが、ケーキを食べる予定はあるが、ケーキの予約は一切していない。
というのも、予約と言うのは見る限り大抵ホールケーキばかり。ウチはまだ子供がいないので、二人家族。ケーキは生ものなので、受け取った当日に食べておきたいモノであるが、流石に二人でホールはくどい。
去年もそうだったが、そう言うわけでウチは当日にショートケーキを買った。相当遅くに訪れない限り売り切れる、ということは無いが、毎度毎度どれにすべきか迷うのである。
「予約したケーキ楽しみだね~!」
「ね~!」
妾のすぐそばを、おそろいの服を着たいかにもバカップルっぽい奴らが通って行った。
――しかし、今予約と言ったのか? もしやカップルではなく夫婦で、子供もいたりするのだろうか?
でなければ、ホールケーキを二人で食べきることになるが。まさか、ホントにそうする気なのだろうか。
「ところで、ショートケーキで予約できること、知らないヒト多いらしいよ?」
――何? そうなのか、初めて聞いたぞ! 妾は耳をそばだてる。
「あっはっはマジでー?」
「イマドキそんなのも知らないヒト居るって言うんだよ?」
悪かったな、イマドキの人間じゃなくて!
「どんな奴だよトシヨリくらいじゃね?」
「そーでもないみたいだよ? でもお年寄りの人は確かに知らなさそう!」
「アハハハハハ!」
「アハハハハハハ!」
「だァれが年寄りだァッ!!」
全く、最近の若者と来たら! ヒトを年寄り扱いしおって!




