《第780話》『犯人はァ――お前だ!』
「というわけで、こいつか」
「な、何ザマスかこのお二人は!?」
鳴狐を言いくるめ、渋々そいつを紹介させる。
見た目は、釣り目のような眼鏡をかけた壮年の男。いかにもドケチそうな人相のそいつは、やたら派手派手しい金色の着物を見に纏っている。成金か貴様は。
「こやつは『金霊』。長年余らの財産管理を一手に担っておる」
「よし、シメよう」
「!?」
「ちょぉっと待つのじゃァ!? 余のしもべに何をする!」
ちなみに、場所は鳴狐一派の住処。洞穴の中、家が並ぶ土地で、狂鬼姫の根城のように、巨大な住居に皆が住んでいるわけではない。
「こいつが明らかに怪しいだろうが! ぶっとばして在りかを吐かせるのが手っ取り早いだろ!」
「貴様がしつこいから連れて来てやったと言うのに、何故そうなるのじゃ! 余のしもべに罪を着せるとは言語道断! そこまで堕ちたか狂鬼姫ッ!」
「まあまあ、まあまあ、二人とも落ち着いて」
妾達の間に割って入る夜貴。妾は仕方ないので、一旦引いてやる。
「一先ず、一つずつ状況を整理していこうよ。そうして誰もが納得する結果を決めるべきだと、僕は思うよ?」
「それは――もっともではあるが……」
「む? もしや、3億円の話をしているザマスか?」
「貴様がこの狐の金を盗んだから、ウチに駆け込んできて大迷惑しているのだ」
「そんな、盗んだとは失敬ザマス」
「ほらみるのじゃ! 余の優秀な部下が、余らに対してよからぬことを行うわけが、」
「ただ、利子分含めてきっちり返して頂いただけザマス」
「…………」
「…………」
「…………」
「はいザマス」
「「「ん!?」」」




