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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第三章
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《第七十七話》『あな』

「ちなみに、収納しているのはお菓子だけではないぞ」


 そう言うと、 呉葉は次元の穴に手を突っ込み、色々なモノを取り出し始める。財布に、広告のチラシに、通帳に、買い物用の手提げかばんにと――普通ならバッグに入れて持ち歩くモノが、そこから次々と現れた。


「と言うか、とっておきじゃなかった?」

「何か勘違いしているようだがな――とっておきは次元の穴ではない」

「じゃあ何?」

「このポテチとコーラに決まっておろう」

「そんな鬼神見たことないよ――」


 やっぱり、アレだよね。呉葉に常識的な鬼の枠を当てはめるのはやっぱり間違いだよ。


「言ってしまうと、これは疑似世界創造なのだがな」


 と、幻影の呉葉。


「作った小さな世界に、昔からこうやってモノをしまい込んだものよ」

「冬眠前のリスみたいな――」

「ボコボコにした奴の首、奪い取った金銀財宝――」

「うわ、すごい鬼っぽい――」


 昔は。


「他には酒や食い物、暇つぶし用の書物――」

「――うん?」


「唐から渡ってきたという菓子もしまいこんだな」


「やっぱり変わってないじゃないか!?」

「変わったなどと一言も言っておらんではないか! ――まあ、百年して奪い取ることにも飽きてきて、それをする必要もなくなって以来、嗜好品を保管しておく方向性に変わったがな」


 だが、やっていることは小さいとはいえ、技術自体は見た目よりも相当使うに違いない。それを軽くやってのける呉葉は、やはり強力な鬼なのだろう。


「うん? 穴から何か落ちかけてるよ?」

「何? ――ッッ!!」


 現在の呉葉は振り返ると、急いでそれを押し込めはじめた。


「どれどれ?」

「あ、こら待て貴様!?」


 それを、新たに次元の穴を開いて取り出す幻影の呉葉。彼女も同じ呉葉なのだから、同じ先へと手を伸ばすのは可能なのだろう。


「――なんだ? この薬は。『媚薬』……?」

「や、やめろぉ! 高かったんだぞそれはぁ!」

「…………」


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