《第765話》『晴れ時々ニーソックス』
「ニーソが風に!」
「いきなり何事!?」
たまたま不定期の休みだった僕。二人並んでソファの上でテレビを見ていたその時。多分、ふと呉葉が外を見た瞬間だったと思う。
なぜか、彼女の白いニーソックスが風にのってひらひらと飛んでいっていた。
「ええい、仕事しろ洗濯ばさみ!」
お聞きのとおり、それは今日の洗濯物。しかし今日は風が強く、干す際も呉葉が悲鳴を上げていたのを覚えている。
「今なら追いつける! ちょっと取ってくるぞ!」
「えっ、あ、うん」
空間転移を使ったのか、隣にいた呉葉の姿を消える。直後、宙を舞うニーソックスの傍らにその姿が出現。
――ところであのニーソックス。通常穿く靴下としては、結構珍しいと思っているのだけど、それって僕だけ?
そして呉葉は、見事ニーソックスを空中キャッチする。窓の外で空中の彼女が、ぐっとガッツポーズを――、
あ、顔にどこからともなくニーソックスが顔面に。――はい?
驚いたためか、呉葉が自分の掴んでいたニーソックスを離して下に落下してしまう。
「っ、呉葉!? ――っ、」
痛そう。思いっきり顔面からアスファルトに落ちてる。さっき掴んだニーソックスは風でどこやらへと――、
起き上がった呉葉。きっと、もう一度捕まえに行くつもりなのだろう。
――だが、その顔面にまたもや覆いかぶさるニーソックス。
どうしてか今日、空を舞うニーソックス多くない――?




