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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
763/1022

《第762話》『変わり目の風邪にご用心』

 びゅうっと吹く、冷たい風一陣。外へ出た途端、僕は早朝の木枯らし一発に身をすくめさせられてしまった。


「ううっ、寒――っ」

「12月並みだとのことだ」

「――あれっ、秋ってあったっけ」

「樹木だけは秋の気分のようだが」


 確かに、木々は紅葉している。が、その葉っぱは既に数少ない。


「もう冬支度に入ってるように見えるんだけど」

「一気に冷え始めたからな。大分大慌てだ」


 ちなみに、うちは既に衣替えが終わっているぞ。と、呉葉は得意げに胸を張る。僕が今着ている衣服も、冬用のモノだ。

 それでも、身体は季節の変化には追いつかない。風邪予防はしっかりしているつもりだが、免疫が落ちていることに変わりはないだろう。


「――何やら、まだまだ辛そうだな」

「そりゃあ、ホント急に気温が変わったからね――。一体、秋ってどこにあったんだろう、って言うくらいに。一か月前はまだ汗ばむ程じゃなかった?」

「朝はともかく、昼間はかき氷食っても冷えなかったからな」

「――それ、僕は凍えたんだけど」

「ともかく、寒々としたままではよくない」

「やんわり話逸らしたでしょ」

「一つ、出勤する前に妾が温まる話をしてやろう」

「え?」


 そう言うと、呉葉はニヤリと笑う。


「一昨日一緒に入ったお風呂」

「!?」


 言葉で言われることで、鮮明に思い出されてしまう呉葉の白い肌。凹凸は少なくともバランスよく整った綺麗な身体、密着する柔らかな肉体。

 ――誤解無いように言っておくが、僕が入ろうと言ったのではなく、呉葉が僕の入浴中に突撃してきたのだ。驚き恥ずかし、しかし抗う事の出来ない強引さ――。


 否が応にも、僕の身体は照れで熱くなった。


どうってことないヒトにはどうってことないかもしれないが、僕にとってはどうってことなくない事件である。


「こうかは ばつぐんだ!」

「朝から何を思い出させるんだよもう!?」


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