《第751話》『ディメンション・スクラッチ』
「くっ――!?」
剣圧、と言うべきか。文字通り大地を抉るその一撃は、妾達を宙に浮きあがらせた。
しかし、何を考えているのか。ヤツの瞬間移動は体勢さえも変えられるが、一定の範囲限界をあらかじめ定めておく必要がある――筈だ。
「当ててみましょうか。考えていますね? それでは、私があなたがたを先ほどのように攻撃できないと」
よもや、この期に及んで演技でした、とでも言うつもりか? だが、それこそ、そんなことをする意味はないはずだ。
「変えたんです。効果が薄いと考えて、別の攻撃に」
自身の身体を宙に舞わせながら、妾は目を見張る。
ペスタの周りには、いつの間に揃っていたのか13の「スペード」が、こちらに銃口を向けて環状していた。
「ち、ィ――ッ!」
集まる光。そして、一斉に照射される光線。それらは重なり合い、極大の力となって襲い掛かってくる。
それに対して、妾は空間転移をかける。行先は、あの女の頭上。自分の力で自滅しろッ!
――直後、放たれる光。
「……――っっ!!」
空間の穴、その維持も楽ではない。油断すれば、一気に崩壊してそこらじゅうを歪ませてしまう可能性がある。
だが、この強烈な力――……っ!
通常、空間に干渉する、ということは不可能である。それこそ、妾のようにアレコレ試行錯誤した上でなければ、何の影響を与えることもできないのだ。
そして、ビームの転移先であるペスタ・エプティは、13の「ハート」でそれを防いでいた。この状況、全てヤツの掌の上――なのか?




