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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
749/1022

《第748話》『最大のチャンス』

「うっ! ぶっ!」


宙を舞った僕は、着地に失敗して顔面から畳に墜落する。髪の毛で放り投げられるなど、思ってもみなかった。


「っ、これ、は――」


どれくらい投げ飛ばされたかは分からない。しかし起き上がってみると、周囲の参上に唖然する。


天井は穴だらけ。柱は切り倒され、怪我をした妖怪は倒れてうめき声をあげている。

しかし何より眉をしかめたくなるのは、それらが「辛うじて元のモノが分かる程度」の破壊であることだ。

きれいさっぱり無くなるより、原型が残っていた方がより暴力を感じられるもの。それを、周囲の光景は如実に表している。


あのペスタと言う女の子は、本気を出せばこんな中途半端に終わらない惨状にできるだろう気配を放っていた。

鋏の斬撃一つ取っても、人だの妖怪だのと言った枠を越えている彼女なら、この場の全てを元のわからぬボロクズにできるに違いない。

だが、それをしていない。すなわちこの状況は、相手の恐怖を煽ろうとしていることの証だ。


狂鬼姫へと、鎮まることを懇願する声。発端は、あの大きな鬼が殴り飛ばされたことだろう。しかしそれは当然、屋敷中の注目を集めた。しかしその原因すら、あの時刺さっていたモノを見る限りペスタ・エプティの仕業である。

さらに、続けざまに至るところで破壊が行われれば、その続きと誤解してもおかしくない。釈明が無ければ尚更だ。


「――っ!?」


壁が破壊され、「クローバー」が目の前を通り過ぎて行く。

僕には目もくれず、再び何かを切り裂きに行ってしまったのだろう。アレはひょっとして、あの少女の視界と繋がっているわけでは、ない――?


――もしかして。本当にこのまま逃げたら、僕は逃げ切れる?


屋敷中は大騒ぎ。妖怪達は僕の事を気にしている余裕はないだろうし、殺し屋も追いかけてこない。


脱出するには、絶好の機会だ。


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