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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
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《第744話》『ノット・ターゲット』

「――ッッ!!」


 妾の妖力でコーティングした腕が、閉じられようとしていた大鋏の開閉を阻害する。

 危なかった。勘を頼りに先んじて動いていなければ、零坐と静菱は纏めて裁断されていた。

 空間転移が無ければ、間に合わなかった。こいつ、ただ早いだけではない。


「きょ、狂鬼姫様!?」

「お前らは事態の鎮圧に回れ! こいつは妾がなんとかする!」

「思っていました。そう来ると」

「だからこそ、いきなりこの二人を狙ったのだろう?」


 重い鋏の刃を、妾は振り払う。するとペスタは鋏を閉じ、それを横薙ぎに――、

 背後より飛び掛かるペスタが、開かれた鋏が零坐と静菱の背中を狙う。

 空間転移により対応。刃が届く寸前で、何とかそれを防ぐ。


「…………!?」

「思い出したのですよ、私。誰を殺してはいけないか」

「ほ、う――?」

「あなたです。狂気鬼です。なので、邪魔をしないでくれるとありがたいのですが」

「興味深い、な。先ほどの話を聞いていても思ったが、使者はともかく、何故妾を狙ってはならないのか」


 押さえていた鋏がもう一度開かれ、また閉じ――、

 鋭い剣の一閃が、静菱を狙う。

 何度も同じ手では見切られると考え、空間転移を使って鬼火玉でヤツを取り囲み、一斉に襲撃させる。

 それを、トランプの絵柄が阻む。ハートが受け止め、スペードが撃ち落とす。

 だが、本命は遅れてやってくる。直後に、隙間を縫うように鬼火玉を展開。ヤツは羅紗切狭で、打ち払――、

 ペスタの羅紗切鋏が、真横から零坐をその顎の餌食にせんと襲い掛かる。


「ちっ」

「ほぁあああっ!?」


 空間転移。今まさに閉じられようとする鋏の支点を、下方から殴り上げる。

 頭上で、ばつん、という鋏の閉じられる音が鳴った。


「すごいです、ここまで対応するなんて!」

「まったく――お前たちの上は、本当に何を考えているのかわからんな」


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