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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
744/1022

《第743話》『同時進行』

「花丸あげちゃいましょう! だぁ~いせぇ~かぁ~い!」


 拍手――の代わりに、ペスタ・エプティは鋏をぢょきぢょき。僕は彼女の笑顔と手にある物騒な代物のミスマッチさに、思わず顔をしかめる。

 いや、それよりも。いや、それもそれとして由々しき事態だけど。今あの老人から、耳を疑うような単語が出た気がする。


「まあ、もう一つのお仕事も入ってますけどね。使者さんを殺させる、って言う」

「やはり、先ほど天井が崩れたのと、使者がいつの間にか持っていた退魔札は貴様の仕業か」


 狂鬼姫――僕のターゲットとして言い渡された、妖怪達を纏める鬼神の名前。

 呉葉さんが? いや、確かにその見た目からは想像もつかない程の大きな力を発揮していたけど。


「イエス! イエス! でも、ひっかってくれませんでしたね、あなたは」

「当たり前だ。思惑が頭隠して尻隠さずだったからな。というか、最初は直接使者を殺しに来たくせに、どうしてそんな回りくどい手に変わるのだ。全体的に、行動に一貫性が見えないのだが?」

「そうでしょうか? 試すのが普通ですよ。失敗するたびに、あれやこれと」

「直接手を下すのが失敗したから次に妾に。それも失敗したから――……ら、この大騒ぎ、か。正直、あまり納得できる気はせんが」

「効率がいいでしょう。同時に作業が行えるときは」

「――つまり、この場で使者を殺しつつ、しもべ共をなだめに行くのを阻止したい、と」

「効率的でしょう?」


 だが、呉葉さんが極悪な鬼には到底見えなかった。むしろ、普通の人間と何ら変わることの無い、一人の女の子のようでもあった。


「調子に乗るなよ? 先程の戦闘で、妾が本気を出していたとでも思っているのか? 片手間でどうにかなるほど、妾達は甘くはない!」

「本気出していませんでしたよ。私も、状況を見極めねばならないので」


 しかし――その白い女の子から、強烈な妖気が突如として溢れ出す。


「ぶわっ、っ、きょ、狂鬼姫様! 狂鬼姫様がわざわざ手を下すまでもありませぬ! 我々でこの侵入者の排除を――、」


 少女の身体を包むは、地獄で固められたかのような真っ黒い炎。今まで体感したことの無い、大妖怪の力――、


「零坐。静菱。お前らは、断じて手を出すでないぞ。この舐め腐った女を、心の底から後悔させてやる――ッ」


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