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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
741/1022

《第740話》『裏に蠢く策謀の一手』

「この馬鹿零坐! アホ零坐!」

「怒られている意味がまるでわかりません!」

「だから貴様はアホなのだァ!」


 折角、やられたフリをして事態が動くのを待っていたというのに! それをこいつは邪魔しおって、給料梅干しするぞアホタレ!


 ――というか、ええい! もうこうなったら、こんなまだるっこしいことやっていられるか!


「どうせ見ているのだろう! いつまでも隠れておらず、そろそろ姿を現したらどうだ!」

「…………」

「お前じゃない! 一時優位に立ったからと調子こきおってからに! ただ何らかの策に踊らされている、ということくらい察さぬか!」


 気配は感じない。しかし、確実にどこかで見てはいるのだろう。

 妾は、じっと待ち続ける。――しかし、応える者はいない。どうやら向こうも、相当往生際が悪いようだ。

 侵入者は、他にはいない。となれば、やらかしているのはヤツ以外に考えられないというのに。


「む――?」


 そうして、一言もしゃべらずに待っていたためだろうか。ここで、初めて外の音が耳に入ってくる。

 それは、一言で表すならば混乱の声だった。驚き戸惑い、助けを求めるような声。それが、この部屋の外から――いや、屋敷中で上がっている。


「おい、零坐――この騒ぎは……」

「な、何でございましょうな――?」


 耳を、さらに澄ませてみる。一つ一つ音を拾い、詳細に、その内容を探る。


 そうして、どこからともなく聞こえた言葉。それは――、


「狂鬼姫様! どうか、お静まりくださいッ!!」


 その声は、乱心した覚えもないのに落ち着きを促す、懇願の声だった。


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