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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
723/1022

《第722話》『いけないこと』

 妾の全身を、針で刺すほどの殺気が迸る。それを発しているのは目の前の、不思議の国からでも来たのかと言う出で立ちの女、ペスタで、しかし妙な微笑みを顔に湛えている。


 ――それにしても、と思う。あの使者、割となされるがまま過ぎではないか、と。


 己が狙われているというのに、一切合切対応しない――と言うか、出来ていない様子があり、そしてそれは今現在も変わらない。

 ぶっちゃけ、対応が遅れていたら妾でも守り切れていたかどうか怪しい。使者にとって、敵である妾が守ろうとするか自体、本来なら思いがけぬ事態であろう。

 と、言うことは、である。


 ――アレ? ひょっとしてこの使者君、気配通り強くない……?


 対応しなければどうにもならない状況で力を発揮しない、と言うのは明らかにおかしい。それこそ、本当に対応できる力がない、とでも言わないと、この貧弱さは説明がつかない。


「アレ――? 駄目だと言われていた対象がいたような。殺したら」

「今更そんなことを言うのだな」

「いけないことじゃないですか? 人殺し」

「殺し屋名乗る奴が言うセリフか」


 ならば今うつぶせっているこの使者、本当に妾を害しに来たというのだろうか? もしそうだとしたら、仮にも鬼神と呼ばれた妾だ、相当な力をつけねば渡り合えぬことくらい、分かっているハズだ。

 にもかかわらず、恐れずに向かってきたと? 何がこやつをそこまでさせる?


「そこのあなた、分かりますか? 私が誰を殺してはいけないか。うーん、うーん」

「妾に聞くな」

「――いいです、まあ」


 ペスタは、留め金から先の刃が自身の身長と同じ長さの羅紗切鋏を、両手で開く。


「ごめんなさいすればいいんです。間違えたら」

「謝って済むなら、医者も警察もいらんぞ」


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