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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
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《第719話》『ファンシーな殺し屋』

 画面にたくさんの女の子のイラストが表示された時、それは起こった。


「っ、伏せろッ!」


 その大声と共に、僕は押し倒された。すぐ横に座っていた、呉葉と言う真っ白な妖怪の女の子に。

 ――ふわりと漂う、やさしい香り。僕の頭を、彼女の腕が抱いている。


「な、な、何――?」

「――また、厄介そうなヤツが現れたものだな」


 何とか頭をよじって周囲の状況を確認する。あまりにも突然の事態過ぎて、何が起こったのかまるで理解できていないのだ。

 そうしてなんとか、頭を横へ向ける――……、


 パソコンの画面が真ん中より上から、ずるりとズレた。


「外してしまいました。気配は消していたつもりなのですが」


 ひとつ遅れて、まるで型抜きのように四角く壁がせり出してくる。それはごとりとこちら側に倒れると、机と壊れたパソコンの上にのしかかってくる。

 ――僕は、女の子に抱えられたまま後ろに跳び下がらせられたため、一緒に押しつぶされずに済んだ。

 今は、いわゆるお姫様抱っこをされている。


「貴様、何者だ?」

「ターゲットを殺すことを生業にする者ですよ、私は。殺し屋と呼ばれる職業です、いわゆる」


 その声は、少女の声。宙に浮いたような、掴みどころなく、軽やかで、そして歌うような声。


「なーんとなくだが、零坐の差し金のような気がする」

「そう言う事、興味ありません。誰が依頼したとか。名前だとか容姿も知りません、依頼者のこと」

「仕事をして、金さえもらえればどうでもよいと?」

「面倒ごとに巻き込まれないですむじゃないですか。そのほうが」

「――やれやれ、アイツも面倒臭そうなヤツを雇ったものだな」


 壁の向こうには、赤のワンピースに真っ白なエプロンドレスを着た、ぱっと見は十代後半の女の子。

 プラチナブロンドの髪と、エメラルドグリーンの瞳はまるで宝物のようだが、そんな輝きを台無しにするかのように、右目の下にマーカーを引いたような赤い線が三本、入っている。


「男の子だけなのですよね、ターゲット。嬉しいのですが、差し出していただけると」


 そして何よりその右手には――彼女の身の丈の1・5倍はあろうかと言う、シルバーの羅紗切狭が握られていた。


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