表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十一章
703/1022

《第702話》『電飾とかもついてる』

「この先が――鬼神・狂鬼姫の住処……、」


 平和維持継続室の任務にて派遣された僕、樹那佐 夜貴。スマートフォンにインプットされた地図を見ながら、とある山の洞穴の前までやってきていた。

大した力はなく、そして道具に頼った退治方法しか知らない僕。何の間違いか、「鬼神」と呼ばれる強大な存在を倒すという、トンデモ荷が重い任務を任されてしまった。


 鬼――人間が恨み辛みを募らせ、邪気と妖気を溜めこんだ末に成るという呪いの権化。

 その中でも、「神」とまでつくような鬼は、それこそ人の信仰を集めるような神にまでその力は匹敵、凌駕し、災厄を振りまくという。

 つまるところ、人間の世の太平のために作りだされた平和維持継続室としては、見逃すことが出来ない存在であり、当然討伐のために人が派遣されるのは当たり前のことである。


 しかし、どう考えてもこの人選は間違いでは!?


 そりゃあ当然、僕だって世の平和のために働きたいし、その礎となる覚悟はできている。

 けれども、僕には圧倒的に力が足りない。確かに道具で幾らか誤魔化せはするが、それは相手が低級妖怪である場合の話。

 言うなれば、将棋で言う「歩兵」、チェスで言う「ポーン」の立場である、と言うのが僕だ。「鬼神」などと呼ばれるような巨大な存在を相手にするならば、それこそウチの事務所のクラウディア・ネロフィ先輩等の方がよほど適任だろう。


 しかし、僕は既に派遣命令を受けてしまった。ならば、それに従う以外に道はない。


 洞穴の中へと、僕は進む。縦2m、横もそれくらいか、少し短い程度の、小さな穴。

 奥は深く、一寸先は闇。見通せない奥行きは、それだけで僕の不安を煽るのには充分だ。


 静寂――……真っ暗な中、スマフォの明かりだけを頼りに、先へ、先へと。

心臓の鼓動だけがBGM。リズムをとるのは地面を踏む足音。


 そうして進んでいると――何の前触れもなく、僕の視界が強い光に包まれた。


『歓迎! 人間お一人御一行様!』


 ――そしていち早く映った景色の形は、そんな文字が掲げられた看板だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ