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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第一章
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《第六話》『なんだかんだあっても結局――』

「う――う、う……」

「ふむ、目覚めたか夜貴」


 頭のつまった、少しぼんやりした気分に、僕は目を覚ます。すると、呉葉が苦笑いしながら僕を見つめていた。

 今、僕は寝室に寝かされているようだった。最後の記憶は風呂場だったが、この様子から、運んでくれた上に服も着せてくれたようだ。


「えっと――僕は……?」

「鼻血噴いて風呂場で倒れた」

「あ、は、ははっ、ごめん」

「気にすることはない。と言うより、妾が原因であるからな。それに――」

「――それに?」

「隅々まで堪能しながら洗ってやれたからな♪」

「僕の貞操が――っ」


 いつも思うことだが、この鬼はぐいぐいと来すぎではなかろうか? いわゆる、肉食系女子である。だが、いくらなんでも刺激の強いイジワルが多い気がする。

 だけど――、


「今日はもうゆっくり休むといい。何気に出血量が多かったからな。今はあまり動かぬ方がよいだろう」

「呉葉のせいじゃないか――」

「うむ。だから、明日はお前にはたんとレバーを調理して食わせてやる。血を失った時は肝がよいからな」

「朝から中だけ焦げたレバーは勘弁してほしいかな――」

「安心しろ。今度は――きっと、うまく行く。……フフ」

「く、くすぐったいよ――」

「愛しいのだから仕方ない」


 今こうやって頭を撫でる手が優しいから、やっぱり僕は呉葉が好きなんだよなぁ。


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