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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十章
699/1022

《第698話》『悪いことをしたら、』

「目の前で、負けたくなか、った――?」


 呉葉は、涙目で僕を見上げてくる。


「これがいつものただの殴り合いの延長であったならば、こんな手にはでぬ! だが、今日は夜貴が近くで見ていて、そして相手があの狐! どうあっても敗北はお断り願いたかったのだ!」

「――要するに、いいところを見せたかったんだ、ね」

「――うむ」

「でも、やっちゃいけないことは当然駄目だって、分かってるよね?」

「うむ――」


 呉葉は頭を垂れる。その顔は、自分がいかに無茶苦茶をしていたか、それを悟っていた。


「――ほら、悪い事したら、どうするの?」

「…………」

「呉葉」


 呉葉の両肩に手を置く。眉間にしわを寄せ、赤い瞳を潤ませる様子は、まるで子供のようだった。


「――わかった」


 呉葉は鳴狐の元まで歩いて行く。そして、未だ分身したままの鳴狐二人の前で足を止めた。


「駄狐」

「な、なんじゃ?」

「…………」

「な、なん、じゃダンマリ、で、」

「え、あ、え、っと、その――」


 呉葉は、しどろもどろで、視線を彷徨わせている。僕に見えるのは今、彼女の白い背中だけだが、その様子が手に取るようにわかる。


「――反則して、すまなかった」

「!? 狂鬼姫が、余に謝った――じゃと?」

「あと、なんだ、それから――」

「何じゃ、まだ何かあるのかえ!?」

「突如海水を浴びせたことも詫びる。――すまな、かった」

「!?!?!?!?!?」


 そして呉葉は――鳴狐へと、深々頭を下げた。


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