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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十章
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《第695話》『1セット』

 見ろ! 見ろ見ろ見ろ! 見ろ! あの狂鬼姫共の悔しそうな顔を!


「お、おんのれ駄狐! 術か何かを使いおったな!?」

「貴様じゃないんじゃ、そんな卑怯な真似はせぬよ! ただ少し、技術で勝負しただけじゃ!」

「それとも、貴様のような脳筋には妖術のように見えたかのう! 紛らわしい真似をしてすまなかったな! わっはっはっはっは!」

「ぐぬ――現・妾、悔しいが、我々はもう一度戦術を練り直す必要があるよう、」

「やっかましいな! 妾はいつもヤツの策を、力で叩き潰してきた! 貴様も妾なら、わかっておるだろう!」

「だが、現実はこの通りではないか。常に同じやり方が通用するわけではない。それこそ分かっておろう?」

「うるさいと言っている――!」


 現・狂鬼姫は、心配げな視線を送る夜貴をちらりと見やった。あちらは気がついていないようだが、余らにはそれが見えた。


「1セット目は取られてしまったが、2セット目、3セット目はこちらがいただかせてもらうぞ駄狐――」

「ふっふっふ、やれるものならやってみろ!」

「と言う言葉を送ってやるのじゃ!」


 球の打ち始め権利が、あちらに移る。つまり、今度は先に全力で球を叩くことが出来るのだ。

 とはいっても、今の余の力では、ただ打ち込んだだけでは見切られてしまうだろう。

 だから、先ほど同様打ち方を工夫していくことにする。

 時には強い回転を、時には回転を押さえ。風の流れを読み、利用し、翻弄する。


 本来狐妖怪とは、単純な妖力の大きさではなく、その編み方で相手を手玉に取るモノ。力が大きければ良いのは事実だが、繊細な操作、そこから成る計略こそが、その本質なのだ。


 それと同様の考えの元、この試合を進めていく。

 かつて母も、その知略と巧みな妖術によって人間共の国を手玉に取ったという。調子が出てきた今、対等以上の勝負が可能だろう。


 ――そうやって、調子に乗っていたわけではない。もちろん、またうっかりやらかしたわけでもない。


 しかしなぜか。次の一球から、地獄が始まった。


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