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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十章
695/1022

《第694話》『また怪しくなり始めた雲行き』

「まさか、だろう――!?」


 気がつけば、妾達が7点を一方的に取られ、コートチェンジする羽目になっていた。


「一体何をやっているのだ現在の妾!」

「や、やかましい! ちょっと調子が悪くなっただけだ!」

「あの僅かな時間の間に突然体調不良になるわけなかろうが――!」

「うるさいうるさーい! なったのだ、なったと言ったらなったのだ!」


 パワーで押せば、いかに駄狐と言えど対応できるわけがない。実際、レシーブ側のこちらのアタックに、ヤツはあたふたしていた。

 それがどうだ、まさか太陽の光程度にここまで苦戦するとは! いや、それだけではない。ボールそのものの打ち方に、妙な変化が――、


「フン、貴様にレシーブを任せておくことはできぬようだ。再び、妾が行おう」

「な、何ィ?」


 コートチェンジで、太陽が背になるこちら側になったらまたボコボコにしてやる。そして、貴様ごときのサーブなど、環境要素が無ければ容易く受け流せると駄狐に証明してやる。

 そう思った矢先の、旧・妾のこの発言である。


「社会と言うモノはな、失敗に厳しいのだ」

「冷静に考えればただの引きこもりな貴様が社会を語るのか!」

「かつての貴様と違い、妾は妾で、この今の人間社会を観察しているのだ。その妾が、のほほんとした貴様に言ってやる。一度行った失態は、どう足掻いても消すことはできんと!」

「たかだかビーチバレーで社会の厳しさを説かれたくはないわ! そんなにレシーブがしたければ、やればいいだろう!」


 ごちゃごちゃと問答するのも億劫になったので、とっとと譲ってやる。試合が終わったら、覚えておれよあの化石鬼。


「これを――受けるのじゃ!」


 サーブされたボールが、駄狐のコートから飛んでくる。

 っ、まて、あのボールは――!?


「しくじるなよ、現・妾!」

「まて、油断するな馬鹿!」


 旧・妾がボールをレシーブ。それは高々と、上昇していく。

 ――だがその軌道は、妾達のコートの、はるか後方へと向かうものだった。しかも、とてもキツイ角度で。


「ぬおおっ!!」


 妾は大急ぎで走り、何とかボールに追いつく。そして、必死の想いで打ち返すことに成功した。

 驚いた。あんな回転をするボールが打てるのか!? まるでソ〇ック・ザ・ヘッジホッグが飛んできたのかと思った。


 しかし、打ち返すことには成功したのだ。レシーブしてなお回転の残る球だったが、なんと、か――?

 跳躍せずに打ち返した、ビーチボール。それは緩い放物線を描くと、ネットに当たって落下してしまった。


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