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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十章
694/1022

《第693話》『勝機』

「け、結局何もできぬままに7点取られてしもうた――」


 互いの点数の合計が、7の倍数となると持ち場の交代となるらしい。その関係で、狂鬼姫共との立ち位置が入れ替わりを迎える。


「ふふん、このまま一方的に点を取って勝利をもぎ取ってやる」


 このままでは、奴の言う通り余の敗北になってしまう。悔しいが、この競技においては、あのアホ鬼神に分があるのだ。

 勿論、このまま負けを認めるつもりは無い。しかし、戦力的にはおよそ倍の開きがある現在。いったい、どうすればいいと――、


「――?」


 ――その時、余は気がついた。


「さあ来い駄狐! 諦めてただサーブ打つマシーンと化すがよい!」


 余は、球を打つ。先ほど同様、初手では強く叩きこめないため、とても緩い速度だ。現・狂鬼姫の方が、今度は対応するようだ。

 ただ、少々打ち方を変えた。大きく放物線を描き、高く、高く、そして緩やかな速度で相手の持ち場へ飛んで行く。


「ハッハッハ! 先ほどよりも格段に緩いぞ! もはや諦め――……、」

「フッ――!」

「――っっ!!?」


 直前まで威勢の良かった狂鬼姫。しかし、その気迫がまるで嘘のように、球は彼奴の足元に落下する。


「っ、何をしている樹那佐 呉葉!?」

「み、見えん――っ」

「何?」


 幻・狂鬼姫は、余の方へ何かしたのかと言う視線を向けてくる。

 しかし、余は術の類など一切使っていない。当然だ。決まり事を違反してしまうのだから。


「ま、まぶしい――」

「っ! まさか――!」


 そう、日光。先ほどまで気がつかなかったが、余が今立っている持ち場は、太陽を背にする位置にある。

 そして余は、ヤツが球を受け取るであろう位置を予測し、そこに丁度太陽の光が相手の目を刺すであろう場所を狙った。

 結果、対応しきれず今のように球を落とした。勿論、多少軌道に変化をつけはしたが――たったそれだけで、狂鬼姫などこの通りだ。


 さあ、白面金毛九尾の狐、その娘たる藤原 鳴狐の反撃――とくと見るがいい!


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