《第六十八話》『鬼神の住処はぐっちゃぐちゃ』
「こっちだ、こっち」
二人の呉葉の案内で、僕は応接間へ。――それにしても、大きな屋敷だなぁ。
この、元は呉葉が住んでいた屋敷。随分と変わった外観をしており、例えて言うなら、日本家屋の博物館みたいな見た目をしている。
そんな、平安時代やら室町時代やら江戸時代やら明治時代やら、いろんな建築様式の建物が後から増築されたような、呉葉の屋敷。それに即した室内を通り、洋館的な客間へと僕はたどり着いた。
「ねぇ、前来た時も思ったんだけどさ、どうしてこの家はこんなに、その――ツギハギだらけなの?」
「それはな、時代が移り変わるたびにそれに即した家をたてたかったんだが――」
「前の家を崩すのも忍びなくてだな」
「――呉葉って、モノを捨てられ無い性格でしょ」
「この家、様々なトイレが合計328戸はあるぞ」
「そんなに要らないでしょ絶対!?」
そう言えば、タンスやら引き出しやら、最近物が溢れることが多くなってきた気がする。案外、片づけられない、整理できないのは間違って無いかも――。
「だ、だからと言って、別に妾は家事を適当にやっているわけではないぞ!」
「おい、現在の妾よ。崇め奉られていた時代ならいざ知らず、誰かとつがいになったならそのあたりはしっかりせぬと行かぬのではないか?」
「や、やかましい! それを貴様が言えたことではあるまいに!」
「だって妾、そう言う立場じゃないしぃー」
「おんのれぇ、他人事だと思って――ッ」
「まあまあ、まあまあ。こんなところにきてまで、喧嘩しないで」
そうやって話しながら、応接間で適当に腰かける。ここは明治時代エリアらしく、西洋的な雰囲気の洋館らしき内装をしている。
「お茶をお持ちしました」
と、そこへタイミングよく、零坐さんが三人分のお茶を持ってくる。
「こちらが狂鬼姫様方のお茶で、」
「うむ」
「うむ」
「こちらが――お客様用の毒入り茶になります」
「毒入り!?」




