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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十章
689/1022

《第688話》『増える狐。増える鬼』

「気を取り直して、二つ目はビーチバレーだよ」

「なあ夜貴、妾が提案しておいてアレだが、この競技は二人でやるものだろう? どうするのだ?」

「何じゃ、別に余は相方がおらぬともよいぞ? 狂鬼姫一人倒すのに、援護など必要ないからのう!」

「そういう競技ではないのだが。と言うか、知っているのではなかったのか? ルールそのモノは認知の範囲外か?」


 仮に一人でやるとすると、ルール上パスは出来ないから、受けた球を直接返さなきゃならないのだろうか?

 まあ、それぞれの相方を一応用意はしたので、わざわざ考える必要も――、


「しょうがないのう! ならば余は分身する!」

「えっ」


 何か言う前に、鳴狐がすーっと二人に増えた。


「っ、そうか、貴様にはそれがあったか!」

「「ふははははは! 全く同じ力の余が二人! 考える事はまるで同じの分身術じゃ!」」

「えっ、あの――」

「「誰を呼んでもよいが狂鬼姫、貴様に万が一の勝ち目もない! 足掻くだけ足掻いて、無様な姿を曝すがよい! ぬははははは!」」


 高笑いする鳴狐。僕は急いで力を貸してくれるようお願いした近隣の妖怪二人をちらりと見る。後方遠くで膝を抱えてこちらを見ているあの二人は、どの妖怪グループにも属さず、何故か平和維持継続室に力を貸してくれている名もなき低級妖怪なのだが。


「っ、マジか、マジか――! 駄狐め、小癪な真似を……っ」


 はっきりと口には出さないが、明らかに旗色の悪そうな呉葉。戦いでなくビーチバレーだから、力そのものは関係ないとは言え。やはり、鳴狐のことをよく知る彼女からしてみれば、相当に厳しいことが目に見えているのかもしれない。

 ――と、そこへ、


「なんだ、面白そうなことをしているではないか」


 普段からよく聞く、しかし、その普段の持ち主とは少しばかり雰囲気の違う声。


「樹那佐 呉葉。この妾が力を貸してやろうか?」

「――っ、偽物の妾か!」


 空間転移と共に、かつて物理幻術と言う術で生み出され、そのまま存在し続けているかつての狂鬼姫――もう一人の呉葉が、姿を現した。


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