《第685話》『保護者って、こう言う気分なんだろうなぁ』
「じゃあ、一つ目は水泳勝負にしようと思う」
「待て」
僕が最初の勝負を発表すると、いきなり呉葉からストップがかかった。
「どしたの?」
「それは駄狐が提案した勝負ではないか!」
「この後、呉葉の提案したビーチバレーもやるつもりだよ? ただ、ちょっとどうやるべきかを考えてるだけで、先にあんまり準備の必要なさそうなそっちを、ね」
「わはは! 狂鬼姫の早とちりさんめ!」
「うるさい」
「痛っ!? 何をする!」
「だ、だめだよ呉葉殴っちゃ!」
「ふん!」
――なんかもう、ほほえましいと思っていたのが、呆れるを通り越して、胃が痛くなってきた。あんまりこの状況が続くというのも考え物で、言い合い・殴り合いを見続けるというのも限度がある。
「とにかく、一つ目は水泳で! 泳ぐ先はあそこの岩まで!」
海岸から、目測200mくらい先だろうか。二人とも妖怪だし、人間ならともかく、これくらいが丁度いいと思ってそこに決めた。
「フゥン、空間転移でちょちょいのちょい――」
「純粋な身体能力による競争だけだよ」
「な、何ィ!? よもや鬼火ぶつけて妨害するのも無しだと言うのか!?」
「当たり前だよ!? マリオ〇ートみたいなことしちゃ駄目だからね!?」
「くっくっく、狂鬼姫はこれじゃから――それとも、そのような手を使わねば、この余とは勝負できぬというのかえ? 鬼神と呼ばれた貴様も日和ったものじゃなぁ!」
「大人と言われていい気になりおって! すぐに童のような本性を再び曝させてやるからな! 覚悟していろ!」
こうして、何とか殴り合いからは未知をそらすことが出来た。
ほんっと、世話が焼けるんだから!




