《第676話》『当然の結果』
「ディア!? どうしてここに!?」
妾達がキャッキャウフフしていると、堤防に仁王立ちし、腕を組んで見下ろす女が一人。潮風で靡く赤毛が、まるで炎のように揺らめいている。
「天変地異の中でも取り立ててオカシナ事態が起こってるって、調査に派遣されたんだよアタシは! 妖気的な反応があるって言われてね!」
妾は内心、「うっ」と焦った。なるほど確かに、あれだけ力を使えば誰かに感づかれたりするのも当然だ。
隣の夜貴も、同じ顔をしている。――お揃いと言ってもよいのだろうか? 何もこんなところで同じ顔しなくともよいのに!
「――と言うか、この辺りはお前の管轄なのか……? 結構離れていると思っていたのだが」
「あんまりにも妖気がデカいから、これでも平和維持継続室で実力上位張ってるアタシが呼びつけられたってことだよ」
「そ、そうか」
知り合い以外が来たのだったら、適当に化かして(得意じゃないけど)うやむやにすることも考えていた。
だが、仮にも知り合いで、しかもそれがディアとなると簡単にはいかない。逃がして後で怒られる様を考えると気の毒だ。
「……一応聞く気けど呉葉ちん、なんか知らない?」
「サ、サア、ワタシナンニモシラナイワー」
「アンタそんな喋り方じゃないだろ!」
「ひゅ~、ひゅ~、」
「口笛下手! と言うかアンタだろ犯人!」
案の定、あっさりバレた!




