表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二十章
673/1022

《第672話》『悪化の一途!』

「暑い! と言うか熱い! 死ぬ! 焼け死ぬ!」

「主に普通の人間の僕がね!?」


 異常気象の真っただ中。このままでは呉葉や僕ばかりではない。この海岸沿いに存在する家々までもが、確実に被害にあいかねない!


「か、かくなる上は――!」

「!? もうやめて呉葉!」

「止めるな! このままでは本気で取り返しのつかんことになるぞ!」

「どんどん事態が悪化してることを理解して!」

「三度目の正直と言うではないか!」

「二度あることは三度あるとも言うよね!」

「やっかましいわいぬおおぉぉーーッ!!」


 僕が止めるのも聞かず、またもや呉葉は空間転移を行使したらしい。せわしなく動く指と、迸る妖気がそれを示している。


「――っ、ハァ、ハァ……これで、何とかなるのではないか?」

「こ、今度は何したの――? 未だに熱風は吹いてるけど」

「ふふっ、聞いて驚け」


 不敵な笑みが、不安しか感じさせない。


「南極の氷の一部を超高気圧の真っただ中に放り込んで冷やしてやった!」

「馬鹿じゃない!?」


 やっちまいやがりましたよこのヒト!


「ば、馬鹿とはなんだ馬鹿とは! 熱けりゃ冷やして当然だろう!?」

「冷やすのはいいよ。それで何とかなるかどうかは、そこまで物理を知ってるわけじゃないから分からないし、この熱風がどうにかなるかもわからないけど。その心意気と意識は、とっても正しいモノだってのは分かる」


 心なしか、海の方から吹いてくる風が優しくなった気がした。けれども、地平線の彼方に、何か壁のようなモノが見える。


「――でも、氷って言うのは解けたら水になるよね?」

「馬鹿にする極みにも等しい発言だぞ! 言われるまでもなく分かっているわ!」

「じゃあ、あれ見てよ」

「うん?」


 僕は、海岸の彼方を指さした。


 今まさに迫りくる、巨大な津波を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ