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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十九章
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《第665話》『及ばぬ領域』

「――おい、鬼ババァ」

「冀羅、無事だったか」


 呉葉と壊れた車の近くで話していると、しかめっ面の車の化身が芝生の上を歩いてくる。

 人の姿を取る今の彼は、さしたる外傷を受けているようには見えない。


「ウィンカーが割れたり、車体がへこんだりする程度で済んだぜ。そっちは――悲惨だな」

「あれだけ派手に空を舞えば、致し方なかろうな」

「車軸だけじゃなく、そのほかにも色々ダメージ行ってるだろ、コレ――」

「普通なら廃車レベルだが――なぁに、治って戻ってきてもらうさ。大事な車だからな」

「…………」

「…………」

「――なんでだよ?」

「あ? なんだ?」

「なんで、あんな行動に出たんだよ――!」


 あんな行動、と言う程、呉葉の行動は思い切ったモノだったのだろう。

 きっと、相も変わらず無茶苦茶をしたに違いない。こんな状態なのだから。


「あの走行ラインは、始めからこっちがコントロールを失う事を前提に考えていなければ有り得ねぇことだ。普通、あの内側との距離なら、もう少し早めに旋回を始めてるだろうからな」

「ふむ――」

「しかしもしこっちが普通に曲がれりゃ、ここまではならずとも、そっちは大幅な失速を余儀なくされる。あそこから抜き返すことは難しくとも、ノーチャンスじゃねぇ。と言うか、どこかしらで対抗する手段もあったはずなのに、それをしてねぇ! つまり、お前は半分勝負を投げだすようなことをしてるんだぜ!?」

「まあ、そうなるだろうな。結果はこの通りだがな」

「それについてもオカシイだろ――! だったらだったで、こんな有様になることは分かってたはずだ!」

「何が言いたい?」

「お前にメリットなんてこれっぽっちもねぇじゃねぇかッ!」


 呉葉は、冀羅の混乱そのものの声を聞いて顎に手を当てた。しかし、その視線はまっすぐに困惑している相手へと向かっている。


「つまり、なんで助けたのか。そういうことを聞きたいのだな?」


 呉葉は、妙なことを聞かれた、と言った様子で確認を取った。そして、次に――実に、彼女の立場と考え方を表した返答をした。


「お前は一応、妾の部下に当たるからな。当然だろう?」


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