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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十九章
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《第660話》『命を持った夢』

 人間は、どうしてそうも簡単に死ねるのだろう。



 灼熱の業火の中、金属の車体が焦げる。


 ガレージ内の空気の大半を燃やし尽くしながらも、


 まるで夢を追う心のように、その炎は消え切らない。



 しかし、それは決してそんな希望の熱では決してない。



 むしろそれは、全てを終わらせる死の熱さ。


 夢も、希望も、何もかもを灰に変える、終焉の焔。



 ガレージの、細い窓のガラスが割れる。



 ほぼ真空状態だったガレージ内に、急速に空気が入り込む。


 唐突に増した酸素が、庫内の熱の影響を受けて急激に燃焼を始める。



 ――ガレージが、爆発する。



 そこにあったモノをことごとく壊し尽くし、地獄の中に残るモノは。夢を追う心は――、


 それを持っていた人間は死んでしまった。


 子供っぽさを持ちながらも、その夢に本気となり、熱さを湛えていたその魂。


 そんな想いを持ちながらも、死んでしまった。



  人間は、どうしてそうも簡単に死ねるのだろう。夢も叶わぬまま。叶えられぬまま。ただ身体が消し炭になったくらいで。



 俺は――死なない。「絶対」である、と言う夢のため。この身が滅びようとも、死んでたまるものか。


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