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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十九章
654/1022

《第653話》『霞んでゆくあの日』

 ここでもダメなら次だ――ッ! 次の高速右コーナー、クロスタータルにて今度こそ行く!


 だが、今度は追い抜く前に相手に張り付くことすら適わなかった。しかも、前輪に荷重を移しきれずにアンダーステア。前輪がグリップを発揮しきれず、曲がれない。


 右側のタイヤが、芝生に乗り上げる。


 ……――ッ、ッ、


 左右のタイヤでの接地面における摩擦の大きな違いから、さらに車体が芝生の奥へと侵入してゆく。そのすぐ奥にはガードレール。高速コーナー故にハイスピードでクロスタータルに突っ込んでいるため、このまま行けばクラッシュしてしまうだろう。

 仕方なく、俺はアクセルを緩め、微調整することで立て直しにかかった。


 ガリッと、左フロントが軽く擦れ、車体がコースを向く。


 さらに左テールがガードレールを蹴る。


後ろのタイヤがややスライドしながらも、安定を始める。


 ――前輪がコースに戻り、俺はほっと息を吐く。


 頭が痺れ、真っ白になるような瞬間だった。ステアリングで体制を無意識に調整しながら、まさしくヒヤッとなる状況だったと言わざるを得ない。再起不能にならなかったのはラッキーだった。


 今のミスのせいか、少し距離が空いてしまった。鬼ババァは次の低速右、シュタイルシュトレッケから姿を晦ませている最中だ。

 ヘアピンに近い形状の複合コーナーであるため、内側のガードレールと木のせいで、離されると見えなくなってしまう。


 何をしているんだ俺は。ブチ抜かねばならないのに、どうしてこんなミスをする!?


 コースアウトしている時ではないのだ。そんな暇はない。それなのに――あんな遊びでしか走ることを知らないヤツに、どうして離される!?


 どうして、俺が――勝利するために生まれたこの俺が、苦い土の味を感じなければならない!?


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