表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第三章
64/1022

《第六十三》『両手に花』

「全く情けない! 情けないと言ったらありゃしない!」


 僕が目を覚ますなり、幻影の呉葉はあからさまに大きなため息をついて見せた。

 いつの間にかベッドに運ばれているあたり、やはり気を失っていたのだろう。


「なあ、未来の妾よ。お前の夫はいつもこうなのか?」

「まことに情けないことながら、過剰な興奮でいつも鼻血を噴くな」

「ひ、ヒドイよ二人とも――! あんなことになるのは当たり前じゃないか……」


 女の子にあんなふうに密着されて、鼻血を噴かない男はきっといないだろう。いや、そうに違いない。昆虫の交尾でオスが命がけであるのと同じように、人間の男も喰われこそしないが、命の危機に瀕すのはきっと当然なのだ。


「しかし、これでは跡継ぎを作ることができぬ。果たしてどうすべきか――」

「べ、別に、無理に作ろうとしなくてもいいんじゃ――」

「妾には時間がそれ程残されてはおらぬのだぞ? この身がいつ消えてしまうのかもわからぬというのに」

「そ、それは、えっと、そうなんだろうけど――」

「――ふぅむ、こうなれば仕方ない」

「なんだ、何を思いついた? 妾の経験則から、碌な思い付きでないというのは――」


「適当な男を外で捕まえて種を植えてもらおう」

「それはやめてっ!?」


 いったい何を言っているのかこの幻影。いや、確かに元々思い入れの薄い対象に対してはあまり頓着しない傾向にあるけどさ!?

 ――と、僕がそんな気持ちを込めて言うと、幻影の呉葉はにやりと笑った。


「くふふっ、小娘のようにうぶでも、男としての独占欲はしっかりとあるようだな」

「えっ!? あ、いや、その――」

「ならば、こうしよう」

「え――?」


「妾達『二人の呉葉』を連れて、今からデートに赴くのだ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ