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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十九章
631/1022

《第630話》『星に込めたる願い』

『…………』


第一コーナーのS字低速コーナーにアプローチするべく、ブレーキングを行う。

ABSをカットしているため、タイヤが完全にロックしてしまわぬよう微調整しつつ踏み込む。同時にクラッチとシフトレバーを逐一操作しながら、エンジンブレーキも加える。

レーシングカーの強烈なブレーキが、1.3トン弱の車体を制動し、前輪に過重をのせた上で、適切な速度まで減速させる。

そこから更に一度ブレーキを抜いてから瞬間的にアクセルをかけて前輪の荷重を抜かせ、再び踏み込む。そうすることで、荷重の移動分を含めた力が前輪に乗る。それを感じ取りつつブレーキを抜き、アクセルを半開にしながらハンドルを切り込んでゆく。


 そしてすぐ切り返し。方向が次のコーナーのクリッピングポイントを向いたところで再びブレーキ。同じように前輪に荷重を乗せ、先ほどとは逆の方向へ車を向ける。

 そしてコーナーのクリッピングポイント、車が脱出先へと方向を変えた時点でアクセル全開。

 エンジンのパワーに負けた後輪が一瞬スリップするが、自身であるGT-R特有のシステムが半分を前輪へと移し始めることで、すぐさま安定。強烈な加速と共に、コーナーを脱出してゆく。


 フィーリングは上々。後はコースに合わせ、調整していくことになる。

 ニュルブルクリンクはGPコースよりも北コースが圧倒的に長いため、恐らくはそちらに合わせた足回りのセッティングを行うことになるだろう。

 俺自身の調子も、久々のモータースポーツの割にはとても良い。自身の心臓エンジンの鼓動に高揚しながら、アスファルトの上を駆け抜けてゆく。


 あの鬼神がどんなモノかはしらない。だが、俺がこの得意分野で敗北するビジョンはどうあっても見えてこない。


 それもその筈。俺は本来、レースで勝利するために。王者となるべく、その願いを込めて、生み出されたのだから。


 この「俺」と言う存在に込められた想い。何人たりと、それを打ち砕くことはできないのだ。


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