《第六十二話》『血の結末(笑)』
「うん? 何が問題だというのだ?」
「むしろ問題が無いと思っている貴様の頭が問題ではないのか!? どう考えても寝取るつもり満々ではないか!?」
――なんだか、ややこしいことになってきたなぁ。というか、女の子がそんな大声で寝取るとか言わないほうが……。
「何を勘違いしているのだ。貴様は妾で、妾は貴様だろう? そもそも、寝取ることにはならんだろう」
「確かに――い、いや、そう言うことにはならんだろう!? 少なくとも、妾はそのようには考えられんぞ!?」
「妾であるにもかかわらず、頭の固い奴だな。むしろ、その妾が二人いることは夜貴にとっても喜ばしいことだろう」
「――え、僕? ……っ!?」
幻影の呉葉は、突然僕の腕を抱きしめてきた。慎ましやかではあっても、確かにあるふくらみが自己主張を始める。
「ちょ、ちょっと!?」
「妾が二人いるのだ。後ろめたいことなく、夜貴は夜伽を楽しめるだろう?」
「!?」
夜伽、ということはすなわち、夜のベッドでちょめちょめ的なことで要するにちょめちょめで、ちょめちょめなことをしつつちょめちょめを作るあの行為ということ!?
「少々貧相ではあるが、それでもおなごとしての肉感の柔らかさは充分。快楽を引きだす穴もあるし、上も下も妾が攻めてやれる」
「う、う――」
「あ。おい、待て。その辺に――」
「そもそも、人間は生物学的観点から見ればハーレムを作る形態の方がしっくりくるようになっているのだ。同じ霊長類を見てみればわかるだろう? この国では一夫多妻は現在禁止であるが、もう一度言うように、全く同一の妾が二人であるために全く問題はないし、気持ちよさは二倍。体力の尽きるまで、まぐわうことができるこの提案は、この場の誰にとっても悪くはない提案だと――」
ぶばぁッ!!!
「――言わんこっちゃない」
「な、なんだ!? この鮮血のシャワーは!?」
「夜貴はその見た目性格通り、うぶなのだ。――ついでに言うと、それゆえに手を出されたことは一度もない。そんな状況で二人では、荷が重かろうよ」
そんな、呆れたような呉葉の声を。僕は遠のく意識の中で聞いていた。




